yroritus_br_660
仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。理想の自分になるためにがんばってはいるけれど、時々しんどくなってしまうことも。

今回、ウートピでは、そんな悩ましい両立について、改めて問い直してみるキャンペーンを始めました。その両立は貴女の人生に本当に必要なものなの? 貴女が幸せになれる両立ってどんなカタチ? 一度、一緒に考えてみませんか?

ある程度の経験を積み、仕事もやっと面白くなってくる20代後半から30代。責任がある仕事も任されるようになって「できること」は増えたけれど、だからこそ、これから自分はどうしていきたいのか、どう働いていけばいいのか、ふと考えたり、モヤモヤしてしまうことも。

そんな働き女子の不安やモヤモヤを“大先輩に”ぶつけてみたら何かヒントが見つかるかも……?

というわけで、今回お話を伺う“大先輩”は「ディスカヴァー・トゥウェンティワン」の干場弓子社長。

同社は、「婚活」ブームのきっかけとなった『「婚活」時代』(2008年)やミリオンセラーとなった『超訳 ニーチェの言葉』など、話題の書籍を次々と世に送り出している出版社。取次店を通さずに書店と直取引をするという出版界の“常識”を覆すビジネスモデルを確立し、業績をグングンと伸ばしています。第3回目のテーマは「仕事とプライベートの両立」です。

【1回目】干場弓子社長に聞く「30代女子に覚えておいてほしいこと」
【2回目】おじさんに媚びるって実は得じゃない? 大先輩に聞いてみた

「ワーク・ライフ・バランス」から考えること

——今、ウートピで「両立」キャンペーンというのをやっているんです。「両立」って言うと真っ先に思うかべるのが「仕事と家庭」だと思うんですが、みんな両立しようと頑張りすぎてない? 「両立すること」って必要? って問いかけるキャンペーンなんです。

干場弓子社長(以下、干場):仕事とプライベート……。突然なんだけれど、私ね、「ワーク・ライフ・バランス」っていう言葉が好きじゃないの。というか、若い人たちを不幸にする言葉だと思っているんです。

——おお、なぜですか?

干場:10年くらい前かな、「私はワークライフバランスが大事なんで!」って言ってろくに仕事が終わっていないのに早く帰る新入社員がいたの。

「社畜になれ」とは言わないけれど、時間のことを考えないで夢中になれる時期ってあると思うんですよね。特に編集とか企画とかアイデアを練る仕事は。

家でご飯を食べてても仕事のアイデアが浮かんだり、いいアイデアが思いついたりすると嬉しくて、仕事とプライベートが一体化して楽しい時期ってあると思うんだけれど。

人生の7割くらい働いているとしたら、生きるために時間を売っているって思って働くのと仕事も人生の一部と思って働くのって、どっちが楽しいのかなって思うんですよね。

——休日でも仕事のことはどこか頭の片隅にあって、関係ないことをしていてもふっと仕事のアイディアが浮かぶっていうのは私にも思い当たる部分があります。

干場:もちろんブラック企業の問題はあって、それは考えないといけない問題なんだけれど、それとは別に「ワーク・ライフ・バランス」っていう言葉で仕事に夢中になることから得られる喜びを奪ってしまうことない? ってすごく気になるんです。

——そうですね。

170920wotopi-0094inter

プライベートや恋愛って「頑張る」もの?

干場:その上で、私、今回のお話を聞いてすごく驚いちゃって。

——というのは?

干場:以前は、「ワーク・ライフ・バランス」というのは、働きすぎるなよ、という意味だったと思うんですけれど、いまでは、仕事もプライベートや恋愛も全部「頑張ら」なきゃだめよ、っていうプレッシャーになってるんですね!?

——最近はSNSで他人のプライベートも見えちゃうから「私も頑張らないと!」って思っちゃう女子は多いのかなって思います。

干場:大変ですね、、、、今の若いひとは。。。仕事は結果がすべてであって、頑張るか頑張らないかなんて、どうでもいいんですけれどね。

恋愛だって幸せになるかどうか、家庭だって頑張るか頑張らないかは関係ない。家族が回っていけばいいんじゃないの? って思います。

仕事だけじゃなくてプライベートも頑張っちゃう女性って、「半端に」優秀で真面目なのかなあ。

真面目にやってもいい加減にやってもそんなに変わらないから「いい加減にやっていいんじゃない?」って思うし、「私はこんなに頑張っているのに認めてくれない」っていうのはちょっと違うんじゃないの? って思いますね。

——そもそも頑張らなくていいってことですね。確かに、「私は頑張っている」って思いたいだけなのかも……。

本当は「私にもできる」って思ってほしい

——ただですね、一方で、干場さんのような社長もやって子育ても立派にやっている女性を見るとこっちは不安になるんです。やばい、私こんなに両方ちゃんとできないって……。

干場:なんか、そうみたいですね。仕事か、結婚・子育てのどちらかを選ばなければいけなかった時代に「両方選んだっていいんだよ」ってエールを送っているつもり、私を見て「子育てしながら働き続けても、結構楽しそうだな」って思ってもらえればって思ったんですけれど、なんか「それは干場さんだからできるんです!」って言われちゃったりして。。

でもね、それに関しては責任は感じているんです。本当は、仕事も子育ても両方できるのって、すごく楽しくて幸せだったのに、そのことをあえて見せないようにしてきたフシがあるのは、事実なんです。

——どういうことですか?

干場:何度も言うように、私の世代では「両立」しているという女性は少なかったので、ある意味”処世術”として、両立は「大変だ」って言ってきたような気がします。

——処世術?

干場:そう。幼稚園で会うセレブ専業主婦には「うちは共働きじゃないとやっていけなくて〜」とか言う。子どもが持てないで働いている女性には「子育てなんて本当大変よ」って言っておく。

仕事も子育ても楽しいなんて言ったら、「なんか悪いな」って思いました。また、両方の女性たち、すなわちほとんどの女性たちを敵にしてしまうとも思いました。で、どっちにしても、言えなかったんです。

——そうだったんですね。

干場:だから、「干場さん、すごく楽しそうだから私もそうなりたいな」と思ってもらえるようにこれからはちゃんと楽しいと言うことにします。別に頑張っているんじゃなくて、楽しいから、好きでやってるんですよ、ってね!

170920wotopi-0209hoshi3

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)