幸せへのプレッシャーから逃れる方法

だれもが生きている限り「幸せでありたい」と思うのは当然です。でも「幸せにならなきゃ!」と思うことで疲れてしまうことってありませんか? こうした強迫観念を感じるのは、現代特有の悩みであるということをイギリスの『STYLIST』の記事が伝えています。 また、どうやったらこの強迫観念から逃れられるのか見て行こうと思います。

    幸せへの強迫観念が鬱の原因に?

記事によると、4人に1人の割合で鬱病患者がいるイギリスでは、鬱を引き起こす原因は「幸せにならなければ……」という強迫が引き起こしているのではないか、と疑う心理学者もいるそうです。

実際にThe Priory Hospital Roehamptonの精神科医Niall Campbell氏(以下Campbell氏)によると「現代社会では『幸せであること』はプレッシャーになっています。もし幸せではないことを感じてしまうと、それ自体がまたよけいに不幸にさせる要因になるのです。これがメンタルの健康に悪影響を与えてしまいます」とコメントしています。

ちなみに、幸せを引き起こす脳の仕組みについて、こんな面白い話も紹介されていました。Anthony Seldonというイギリスの作家が彼の本の中で「脳に幸福感を伝えるエンドルフィンという物質は、美味しいものを食べたり、新しい洋服を買ったときに出るもの。ただそれはすぐに消えてしまうもので、またすぐに欲しくなってしまうのです」と解説しています。

「ああ、だから新しい服を買っても、すぐにまた服を買ってしまうんだ……」と身に覚えのある人が少なくないんじゃないでしょうか?

恐ろしいことに現代社会では、この脳の作用をうまく利用して「人間の幸せの追求」をエンドレスにしているものがあります。それは「広告」です。

例えば「ハンドバックを買えば、車を買えば、私たちの幸せは満たされる」というイメージを私たちに見せて物を買いたい欲求を起こさせるのです。特に優秀な消費者として狙われているのが女性です。

    広告や消費で瞬間的な幸せを得ようとする

アメリカの経済雑誌『Forbes magazine』によると、化粧品ブランド「ダブ」が一般女性が広告塔にして行ったキャンペーン「For Real Beauty」は、史上最も効果的な広告だったそうです。それは消費者に「美の自信を与えた」から、つまり誰もが感じたい「幸せ」な気持ちのレベルを上げたからなのです。

先ほどのCampbell氏は、こうした広告や消費で幸せを得ようとする私たちのことを「インスタント満足世代」と言い表しています。それは一体どういうことか以下のように説明しています。

「私たちは何でもすぐに、そして簡単に手に入れることに慣れてしまっています。そして他の人たちと同じように幸せになることを望んでいる。インスタント的(簡単で瞬時的な)興奮を味わうために、お金や地位や物を手に入れようとするのです。そんな私たちの価値は現代の歪んだ社会と同じだと言えるでしょう」

彼のコメントには否定しどころがないほど、私たちの行動を言い当てていると思いませんか?

    全ての感情には価値がある

モノを買うことで得られる幸せは、悲しいことに長くは続きません。だからこそ、また幸せを味わいたくて物を買ってしまう悪循環は、どうやったら止められるのでしょうか?

科学博士であり『Happiness By Design 』という本の著者であるPaul Dolan氏は、そのヒントをこう教えてくれています。

「幸せと感じる時があるように、自分が時々不幸せであること、怒ってしまうこと、不満足になることも受け入れることが大切です。全ての感情には価値があるからです」

他にもErasmus Universityという大学が2013年に行った研究では「10%のネガティブな感情は、悲しい状況から抜け出そうとするのに必要な要素である」という結果が出たそうです。

こうしてみると「幸せにならなければ」と思い込むのではなく「まあ、不幸もしょうがない」とやり過ごすことで楽になれるのかもしれません。

また、物を買う以外にも幸せがあることに気づき、探してみるのもよいと思います。友達と話をしたり、本を読んだり、自分の好きな場所でぼーっとするだけでも幸せは感じられるはずだからです。

モノを買って得られる幸せはつい簡単で刺激が強いので習慣化してしまっているとは思いますが、忙しい毎日でもふと足をとめて、ささいなことでも幸せだと感じようと意識することが大切なのだと思います。

参考記事:STYLIST