一流大学卒業という学歴や、プロとしてやりがいのある仕事を手に入れた女性を、一般に「ハイスペ女子」と呼びますが、そのありかたは近年、変化しつつあるという話をウートピでも取り上げました。

今回は全3回にわたり、産業医で『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社)の著者である矢島新子(やじま・しんこ)さんに、ハイスペ女子の恋愛事情について聞いてみました。

「ハイスペ女子=恋愛に不器用」という世間のイメージもありますが、矢島先生によると仕事のデキるハイスペ女子は失恋しても切り替え上手なタイプが多そう。ハイスペ女子の意外な恋愛事情とは?

第1回:「教養がある人」という条件は外せない ハイスペ女子の恋愛事情

とにかく何事にもコミット

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——ハイスペ女子といえば、仕事もバリバリこなして着実にキャリアを積んでいる女性というイメージですが、恋愛も着実に進めるタイプが多いのでしょうか?

矢島新子先生(以下、矢島):そうですね、ハイスペ女子は仕事に打ち込むように、恋愛に打ち込む人も多いですね。クールなキャリア女性に見えて、実は「恋愛まっしぐら!」というタイプも少なくないですよ。ハイスペ女子の特徴として、「何事も夢中になりやすい」ということが挙げられます。その様子が他人から見ると、ちょっと不器用に映っちゃったりするのかもしれませんね。

——不器用というのは?

矢島:ハイスペ女子は、男性を上手に手のひらで転がすことができない人が多いんです。そういうことを難なくやってのける女性から見ると、「不器用」に映るでしょう。なかには転がすどころか、「私が養ってあげてもいい!」というスタンスの人も結構いますね。その意味で、「男を転がす」という芸当とは対極にいる人たちと言ってもいいと思います。

——「養ってあげてもいい!」と思うと、男性がどんどん女性に甘えちゃいそうですね……。

矢島:好きな仕事に全力でコミットするように、好きな相手にも一生懸命コミットするわけです。そして、そのコミット度合いがすごい。仕事が「デキる」部分がそのまま恋愛にも反映される感じですね。例えば、自分もパートナーも仕事で多忙なのに、彼が太ってきてしまったら、これはいかんと毎日帰宅してから豆腐ハンバーグのようなダイエット食を作ってあげっちゃったりするわけです。

——それって側から見れば「イイ女」に映っちゃうけど、実際には結構続けるのはきついかもしれません。

「遊びベタ」は多いかも

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矢島:とにかく何事も一生懸命なので「遊び」がない人が多いのも、特徴の一つと言えますね。

経済的には恵まれて育っていたり、中高一貫校に通っていたりするので、10代の頃はテニスやゴルフを覚えて案外「遊び」はやっているんです。でも大学に入ると、パタリと「遊び」をやめて勉強モード、仕事モードに突入しちゃう。基本的に遊びベタな人が多いかもしれませんね。本来なら遊びになりそうな趣味も、どこか「自分のキャリアにつながるかどうか」で選ぶ傾向にありますし。

——というと?

矢島:例えば、ハイスペ女子の中にはワインソムリエの資格を取ろうとする人が結構います。ソムリエ試験って、覚えることが膨大だし、スクールに通い続けなきゃいけないし、結構ハードなんです。でも、一度「受ける」と決めたら没頭しちゃう。そして、趣味で始めたはずがいつのまにか自分の中のマストアイテムになってしまい、「絶対に受からなきゃ!」って思っちゃうんです。

——趣味だけど、仕事モードみたいになっちゃうんですね。

矢島:そもそも仕事が忙しいのに、資格を取るために勉強もしなくちゃいけなくなって、気づいたらいっぱいいっぱい。ついにはカラダを壊しちゃったという例もあるくらいです。何事も一生懸命なのはすごいことなんですが、遊びを遊びとして純粋に楽しむのは苦手な人が多いかもしれませんね。最初は楽しくやっていても「一番じゃなきゃイヤ」「人に負けたくない」とか、そういう競争心が湧いてきちゃったり。

結婚相手には意外に夢を抱いてる?

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——とにかく何事も全力投球の傾向にあるハイスペ女子ですが、「結婚」についてはどういうふうに考えているんですか?

矢島:「ハイスペ女子」って、自分ひとりでも十分自立してやっていけるのに、意外にも結婚相手に夢を抱いていたりするんです。

——どういうことですか?

矢島:自分自身が経済的・社会的にかなり恵まれた環境で育っているので、それと同レベルを保証してくれる相手がいい、と考えてしまうんです。それは、もはや無意識の域かもしれませんが。でも、実際にはそういう相手とはなかなか出会えない。今の時代、絶対数が少ないですからね。となると、「自分で仕事しなきゃ! 頑張らなきゃ!」っていう発想に自然となりますよね。

——自分が育った生活レベルをそのまま維持しようとする。ハイスペ女子が努力を続ける理由はそこにもあったんですね。

矢島:あとは、仕事でも求められる水準が上がってきたこともありますよね。男女同じようにキャリアを求める時代ですから。一昔前ならキャリアを求める女性に、「きれいであること」は求められなかったんです。化粧やファッションに気を回さなくてよかった。でも、今はハイスペ女子もみんなかわいくてきれいなんです。「中身」だけでなく「外見」も磨き続けないと差がつかないから、ハイスペ女子が「努力」する範囲は増えていると言えますね。

——キャリアでのプレッシャーはかえって増しているということなんでしょうか。

矢島:だと思いますね。そうこうしているうちに今度は「仕事が大変だから、大学院で勉強したい」という人が出てくるんです。MBA(経営学修士号)のために海外の有名大学に留学するというのも、その典型ですね。それがきっかけで、長年つきあっていたパートナーと破局しちゃう例もあって、難しい決断なんですが。

——「努力を続けたい」という願望と恋愛の両立は難しいということですね……。

結婚相手としては結構人気

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——ちなみに男性は「ハイスペ女子」のことをどう思ってるんですか? 一般には、自分より学歴やキャリアが上の女性を男性は敬遠するという話をよく聞きますが、あれは本当なんですか?

矢島:確かに気にする男性もいますけど、最近の男性はハイスペ女子が好きですよ。実は、ハイスペ女子は既婚率がかなり高くて、結婚相手として人気とも言えるくらいです。経済的にも安定しているし、物事をロジカルに考えられるので男性としてもラクという面もあるのでしょう。

ハイスペ女子が結婚相手として最近人気の理由は、「好きなことをやらせてくれるから」というのもあるかもしれませんね。男性の側が、例えば「飲食店を始めたい」「会社を辞めて起業したい」「主夫になって子どもと過ごしたい」と思った時に、ハイスペ女子はすんなり「私が稼ぐから、あなたの好きにしていいよ」って言っちゃうところがありますからね。

——それはそれでうまくいきそう。

矢島:ただ、なかには「ヒモ体質」と言いますか、最初からハイスペ女子の経済力を当てにしている男性もいるんです。最初から「僕は結婚したら仕事辞めます!」って言ってくれるならまだいいんですが、つきあっていくなかで、じわじわとハイスペ女子にお金を出させようと仕向ける。結局、いつもがんばってくれるハイスペ女子に、まわりもついつい甘えちゃうんでしょうね。

切り替え上手なハイスペ女子

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——恋愛や結婚がなかなか思う通りにいかないのは、世の女性全般が、まあ、そうだと思うんですが、ハイスペ女子の失恋はどんな感じなんですか?

矢島:みなさん、切り替えは早いですね。私のところに恋愛で苦しんで相談に訪れるハイスペ女子はちょっとした心理療法で、みるみる立ち直っちゃう。失恋中の自分が今、どういう考え方をしているかを認識し、他にどういうポジティブな考え方があるかについて挙げてもらうんです。他の考え方の選択肢があると認識していくことにより、落ち込みが和らぐんですが、普通の女子に比べてハイスペ女子は頭がクリアで前向きだから、それを2、3回実践するうちに考え方が変化し、前向きになってますね(笑)。客観的にみて明るい未来があるのでそれが見えるように促すことが出来るので治療者としては助かります。

ロジカルに納得したら、感情の起伏を抑制できます。切り替えるためにどうしたらいいかを建設的に考えられるハイスペ女子たちは、一度終わってしまった恋にはそれほど執着せずに、さっさと切り替えて前に進んでいきます。

——ロジカルに納得したらつらい失恋も乗り越えられる! それは全然恋愛ベタではないですね。

矢島:立ち直りの早さという意味では恋愛ベタではないですね。ハイスペ女子は仕事も恋愛も「結果にコミット」が基本姿勢。結果が出なかった恋愛にずるずる引きずられるのはムダ! と切り捨てられるんですね。

最終回は「ハイスペ女子のデート事情」というテーマで話を聞いていきます。