美内すずえ先生といえば、漫画史上に輝く傑作『ガラスの仮面』の作者。『ガラスの仮面』はドラマ化やアニメ化もされ、世代を問わず多くの人たちに愛されています。

しかし、美内すずえ先生の真骨頂は、実は「オカルト少女漫画」なのだという噂を聞きつけた私。

このたび『妖鬼妃伝』など3作をまとめた「美内すずえセレクション 黒の書」(宝島社)がPouch編集部に送られて来ましたので、今回はレビューしてみたいと思います。

果たして、美内すずえ先生の描くホラーはどんだけ怖いのでしょうか……!?

【『妖鬼妃伝』ってどんな話?】


表題作となる『妖鬼妃伝』は少女漫画誌『なかよし』(講談社)に1981年9月号から11月号まで連載された作品。あらすじはというと……。

デパートへ忘れ物を取りに行ったまま戻らず、変わり果てた姿で発見された親友ターコ。その死の謎を探るべく、主人公・秋本つばさは閉店後のデパートへ潜入し、1000年もの長いときを生き続ける妖鬼妃と妖しい人形たちの帝国を目にする。つばさは偶然知り合った霊能力を持つ美青年・九曜久秀とともに、妖鬼妃と戦うことを決意する。

どうでしょう、「閉店後のデパート」「妖しい人形たち」「霊能力を持つ美青年」……今から36年前の作品だというのに、今でも聞くとワクワクしちゃうようなキーワードが散りばめられていて、あらすじだけでもドキドキ感が高まります……!!

【で、実際に読んでみた】


実際に読んでみると、「ひとりでお風呂入れない!」「夜うなされそう」というレベルほどの恐ろしさはなく。

子どものころに読んだらきっとトラウマ確実だったかもしれませんが、大人が読むとホラー感よりもストーリーの面白さに引き込まれる感じです。

そう、この漫画の何がすごいって美内すずえ先生の画力と、ストーリーテリング力(りょく)に圧倒されるところにあるのではないでしょうか。

人形たちはいったい何者なのか、デパートとどんな関係があるのか……絵の上手さも相まってページをめくる手が止まらないほど!

【著者2万字作品解説やカラー原画も収録】

「美内すずえセレクション 黒の書」は『妖鬼妃伝』のほか、歴史ホラーの傑作『黒百合の系図』、長らく短編集などにも収録されなかったという『ひばり鳴く朝』の2作も収められています。

そして目玉となるのが、美内すずえ先生ご本人による、2万字のセルフ作品解説! 『妖鬼妃伝』が生まれたきっかけや漫画家生活についてなど読みどころたっぷり。さらには巻頭に美麗なカラー原画も収録されており、とっても贅沢な一冊となっています。

まだまだ残暑が残る今の時期。そしてこれからの読書の秋。ホラー、オカルト、冒険譚が好きな皆さんは読んでみては?

参照元:宝島CHANNEL
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch