ここは、恵比寿のはずれに佇む雑居ビルの2階、スナックマリアンヌ。ダメそうでダメじゃないちょっとだけダメな男に悩む乙女が夜な夜な集う、憩いの場です。今宵も、マリアンヌママに話を聞いてもらおうと、お客さまがやってきたようです。

――カランカラン。

乙女「すみません、ひとりなんですけど…」

ママ「いらっしゃい。あら、浮かない顔ね。まずは座ってちょうだい」


【今日のダメ男さん:LINEの返事がいっこく堂なみに遅い男】

相談者:カナ(27歳)
職業:メーカー勤務

ダメ男さん:彼氏 (31歳)
職業:保険会社勤務

交際期間:6か月
出会いのきっかけ:合コン

カナ「付き合って半年になる彼氏がいるんですけど、彼があんまり連絡をくれないんです

ママ「なるほどね。詳しく聞かせて?」

カナ「はい。最初は相手からのアプローチで付き合い始めたんですけど。付き合いはじめてからすぐ連絡が来なくなって。一応、間が空けば連絡は来るし、会うと優しいんです。もちろん、彼の仕事が忙しいことはわかってるから、向こうから連絡が来るまで基本的には連絡しません。でも、女子って何気ないことを話したいじゃないですか。おしゃれなカフェに行ったよとか、かわいい猫いたよとか。そういうLINEを送っても返事が3日後だったり、4日後だったりして…正直言って、返信されてもいつの話してるの?って感じで。彼から告白してきたくせに……なんか納得いきません

ママ「メールやLINEね〜、地味に女子が悩む問題よね。さっ、干しホタルイカよ。召しあがれ」

カナ「えっ。あの、他に何かあります? 今、乾きものじゃないのが欲しくって」

ママ「いいから、食べてごらんなさい」

カナ「(もぐもぐ)……えっ何これ! 最初ゴキ◯◯かと思ったけど、見た目と違っておいしい! こう、なんていうか…噛めば噛むほど旨みがじゅわっと出てくるっていうか」

ママ「でしょう。食べものも人も、見かけによらないものなのよ。あなたの話を聞いてると、悪いのは彼、彼、彼の一点張り。カナちゃん、あなたはどうなの? そもそも、彼と暇つぶし程度で付き合おうと思ってない?」

カナ「えっ……私、ですか?」

ママ「そういうのって、絶対に相手に伝わるの。さっきあなた、このホタルイカ、まずそうって思ったでしょう?

 

カナ「(ギクッ)確かに、最初は彼が積極的にアプローチしてきてくれて、こんなに好きって言ってくれるならっていう軽い気持ちでした。でも、今は本当に好きなんです!」

ママ「その気持ち、ちゃんと伝えたことはあるのかしら?」

カナ「口に出して言ったことはないけど、彼はわかってるんじゃないかなー」

ママ「多分、彼も同じなんじゃない? メールしなくても愛は伝わってるって。あのね、人間って嫌な空気は感じ取ろうとしなくても伝わってしまうものなんだけど、本当に伝えたいと思っていることは、口に出して言わなきゃ伝わらないものなの。特に、男っていう生きものはね。あなた、一度でも彼に本音をぶつけたことはある?」

カナ「連絡くれないね、とは言いました」

ママ「あなたの本音はそんなものじゃないでしょう。本当は“なんで連絡しねえんだよ、時々会ってご飯食べて寝るだけなら、ただの都合のいい女じゃねえか!”って思ってるんでしょう?」

カナ「たしかに……」

ママ「だったら、あなたのその今の思いをきちんと伝えてごらんなさい。相手に変わってほしいなら、まずは自分が変わらなくっちゃ。それでダメなら、彼とは運命の人じゃなかったってこと」

カナ「そっか……! 彼を変えるなら、私が変わる、か……」

ママ「そんな私も好きな人の前じゃあ、あなたと一緒。人のアドバイスなら、いくらでもできるのにねえ……。そうそう、ホタルイカっておいしいだけじゃなく、お酒を飲む人にはうれしい健康食材でもあるのよ。って、あら……」

カナ「ママ、ありがとう!私、行かなくちゃ!」

――カランカラン。

こうして、今日もダメ男に悩む乙女をまたひとり、恋愛という戦場に送り込んだマリアンヌママ。次のお客さまは、あなたかも!? スナックマリアンヌでは、迷える乙女の悩みを聞く憩いの場として、いつでもご来店をお待ちしています。

撮影協力:コワーキングスナックCONTENTZ分室
撮影=K.ナガハシ
執筆=マリアンヌ(c)Pouch