転職を考えるとき、「ベンチャー企業」は選択肢に入っていますか?

まだまだ安定志向・大手志向が強い日本。アラサー女性の転職市場においても、ベンチャー志望者は少数派なのだそう。結婚や出産など、将来のことを考えると「やっぱり安定した環境に身を置いていたい……」という女性が多いようです。

ところが、なかには大手の恵まれた待遇をなげうって転職するなど、あえてベンチャーを選択する女性たちがいるのも事実。彼女たちは、ベンチャーのどこに魅力を感じてその道を選んだのか……?

そんな疑問が浮かび、ウートピ編集部ではベンチャー企業に勤める女性3人を集めて座談会を開いてみました。

前回に引き続き、座談会に参加してくれたのは、こちらの3人。

西ヶ原さん(仮名):(21歳)/新卒でITベンチャーに入社して2年目、営業担当。
四ツ谷さん(仮名):(29歳)/外資系金融からITベンチャーに転職して2年目、営業戦略担当。
王子さん(仮名):(27歳)/ITベンチャー企業から他社のITベンチャーに転職して3年目、営業担当。

第1回:年収200万円ダウン!それでも私が超大手外資系企業から転職した理由

ベンチャーは入社のタイミングで全然違う

——前回はみなさんが「ベンチャーを選んだ理由」や、「老舗企業のように3年かけて1サイクル学ぶという感覚ではなく、スピード感が早い」というお話が聞けました。

今回は「ベンチャーという環境」についてさらに詳しく聞いていきたいと思いますが、新卒入社して営業2年目の西ヶ原さんは転職を考えたりすることはないんですか? もう1サイクル回っちゃって、そろそろ飽きてる頃じゃないですか?

ベンチャー 2-1

西ヶ原:私は逆に飽きとか全然なくて。会社が提供しているサービスもまだ明確なカタチになってない段階のド・ベンチャーだから、常に営業も試行錯誤なんです。だからルーティンを繰り返して飽きるということはないですね。

——創業1、2年目のド・ベンチャーだと、試行錯誤の連続すぎて飽きるということがそもそもないんですね。

西ヶ原:今の会社は、もともと社長が勤めていた企業で一事業部としてやってたことをスピンアウトして始めたらしくて。創業メンバーは5、6人で、今は20人規模になりました。エンジニアばっかりで、あとは私を含めて営業が3人だけ。これだけ小さな規模だと日々が試行錯誤ですから。

——ここまでお話を聞いてきて、ひと口に「ベンチャー」と言っても、どのくらいの規模感のフェーズで入社するかによってかなり雰囲気が違うんですね。西ヶ原さん以外のおふたりはどのフェーズでジョインしたんですか?

ベンチャー2-2

王子:前職は、これからどんどん大きくしていくぞー!という段階で入社しましたね。だから、とにかくみんなバリバリ働いていて大変だったんです。広告もバンバン出して、採用にも力を入れていて。2年半いましたけど、入社時に50人だった社員が辞めるときには130人くらいまで増えてましたね。

——わずか2年半で社員数2.5倍! それはかなり雰囲気が変わりますよね。

王子:西ヶ原さんの会社のように20人規模だと、まだベースを築いてる段階だと思うんです。50人規模だとすでにベースはできていて、これからターゲット層を厚くして成長していくぞ!っていう感じでしたね。

今の会社では、社内起業的な事業にジョインしたので、最初は10人もいなかったです。今は70人くらいかな。最初はしんどかったけど、事業がどんどん成長していくのは楽しかった。

——ベンチャーってスピード感がある分、成長するにつれ社内の雰囲気もどんどん変わっていくと思います。そういう変化に戸惑いはなかったですか?

王子:うーん、そうですね、絶えず新しい若手が入社してきて、すぐに自分が教える立場になっちゃう恐怖はあるかもですね。たとえば、私がいるようなIT業界であれば、過去の炎上事例を知らない人が次々にチームにジョインしてきたときに、20代でまだまだ若手の私が「こういうコンテンツは危ないから」みたいな教育をしなきゃいけなくなる。その責任が最初は怖かったですね。

ま、最近では「しゃーない」って諦めて教育係も引き受けてますけど(笑)。

四ツ谷:会社が成長して事業がいくつかできてくると、各事業にリソースを分散することはありますよね。たとえば、今の会社はメイン事業が2つあるので、250人の社員を半分ずつ分散しているんです。入社時に100人くらいだった社員が250人になって、その250人がさらに2つのチームに分けられて……となると、かなり雰囲気は変わりますよね。

——確かに、それはかなり変化が目まぐるしい……。

とにかくOJTスタイルでスピード学習

——大手であれば社内教育はかなり手厚いイメージがありますが、ベンチャーの場合はどうなんですか? 意外に整っていたりするんですか?

ベンチャー2-3

西ヶ原:新卒で入社したのに社内教育なんて何もなかったですね(笑)。ホントOJTスタイル。なので、名刺の渡し方やメールの出し方も「自分でググれ」って感じです。聞けるような雰囲気でもないし。毎日必死に自分で勉強してついていってます。

私の場合、そもそもITのことをいっさい知らずに入社しているので、まず業務で飛び交う単語が全然わからない。でも、社長も他の社員もエンジニアだからローマ字3文字のわけわからん単語が日常会話で続出するんです。メモってググるの日々ですね。

——ああ〜〜〜、それはかなりハード。

西ヶ原:入社して最初に営業同伴で連れていかれたのは、某大手旅行代理店の役員とのミーティング。専門用語が頻出して、もう何のこっちゃ全然わかんない!って感じでした。

とはいえ、知らないことが出てきても「知らない」とは絶対に言えないのでミーティングでは知ったかぶりして会社戻ってから必死勉強しました。とにかく学習して覚えないと仕事にならないから、絶対に身につく。入社2年目ですけど、そうやって相当量の知識は頭に入ったと思います。

——すさまじいOJT。大手に新卒入社したのでは、そのスピードではまず学習できないと思います……。

西ヶ原:ベンチャーはただでさえナメられやすいんです。だから、たとえ2年目でもいっちょ前に見えなきゃダメ。資金調達に関するミーティングに同行したときも、とにかくナメられないようにがんばりました。結果、21歳で大手を担当させてもらえて、本当にやりがいあります。

——いやー、西ヶ原さんはとても21歳に見えませんもん。最初、同世代のアラサーかと思って声をかけたんです。ナメられないようにハードなOJTをこなした結果、わずか2年足らずでこの落ち着きか……。

西ヶ原:それはあるかも(笑)。新卒1、2年目では絶対に見れないような現場をたくさん見てきました。もとは営業として入社したけど、社内体制が全然できていなかったので、結局は広報や採用面接もやることになって。今になってようやく社内体制が整ってきたかなって感じです。

——こんな21歳そうそういないと思います。すごい! 

教育メニューは私がつくる!

——現在250人規模まで成長した四ツ谷さんの会社はどうですか? この規模だと、社内教育は力を入れているんでしょうか?

ベンチャー2-4

四ツ谷:前職は社内教育のメニューがすごく充実してたんです。研修メニューも豊富で自分の成長に合わせて自由に選択できたし。でも、今の会社はそういう社員教育のメニューがまったくないので、私が自分で作ってます(笑)。

——まったくなかった!? それで問題なかったんですか?

四ツ谷:これまでは中途採用しかなくて、即戦力の人材が入社してきていたので、教育メニューがなくても大丈夫だったんです。でも最近は会社の知名度も上がってきたせいで、「イケてるベンチャーに入れた!自分やった!」って人が来るようになっちゃって。その時点で「どうにかしないとヤバいよね」って危機感を覚えて。今は毎月勉強会やったりしてます。

——「イケてるベンチャーに入れた!自分やった!」ってどんな人ですか?(笑)

四ツ谷:うまく言えないんですが、大手にいるようなフツーの人ですね。

——上から言われたことをきちんとこなす人、みたいな?

四ツ谷:そうですね。そういうフツーの会社員マインドの人が入社してくる段階になると、社員教育が必要になってくるんです。プロダクトも売れていて、今注目のベンチャーに入れたことがゴールになっちゃってる場合も少なくないので。

しかも、そういう人は、転職先のベンチャーで結果が出せないと、会社のせいにする傾向があるんです。だから、それを何とかしなきゃって思ってます。

——なるほど。深いな……。ちなみに王子さんは?

王子:前職のベンチャーはめちゃ厳しかったです。なぜかというと、「ベンチャーだからナメられる」じゃないですか? だから、「絶対そこでナメられちゃいけない」っていう気持ちが社内全体で強かった。上司からは挨拶、メールのやりとり、服装など基礎的なことちゃんとしろと口すっぱく言われてました。私がついていたメンターは特にそういうことに厳しくて。配信するリリースの文章もすごく細かくチェックされてましたね。

新人の時は「なんでこんなに怒られなきゃいけないだろう……」って悔しかったけど、今思うと、あれがなかったら社会人としての基本が身についていない「ダメな若者」になってたかも。

全員:(爆笑)!!

四ツ谷:ああ、でも実際いますよね。新卒からずーっとベンチャーを渡り歩いていて社会人としてダメな人。

王子:いますよね。わかりますよ。

当時はイヤでしたよ、広告営業だけ全員ビシッとスーツとか。でも、ベンチャーというだけナメられやすいから、そういうところからちゃんとやりたかったんですよね、経営層としては。

四ツ谷:ベンチャーだと、営業でもフツーにTシャツの人いますからね。あれを新卒でやってしまうと、常識が身につかなくてヤバいですよね。

王子:そう。今の会社は当初教育メニューがちゃんと受けられたんですけど、分社化したことで新卒教育がおざなりになってしまっていて。社会人としての基本を身につける機会がない新人を見てると、ちょっとかわいそうになって、前職で上司から教えてもらったことを今度は自分が教えてあげますね。

——新卒でも中途採用でも、「ベンチャーだからこそ」自分の努力で切り開いていく力がかなり大切なんですね。いやー、ベンチャーで働く女性のリアルが少しずつ見えてきました。

次回は「ベンチャー選びのコツ」について聞いていきたいと思います。

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