「最近、夜に夫とするときに痛みを感じる」という人はいませんか? 痛みがあると「もしかして、病気かも!?」と心配になるものの、夜の夫婦生活については夫や友人にはもちろん、医師にもなかなか相談しづらいものですよね。
そこで今回は、東京にある産婦人科・三鷹レディースクリニック院長の天神尚子先生に、性交痛で考えられる原因を教えていただきました。

原因1:低エストロゲン

天神先生によれば、痛く感じる理由として最も多いのが、この“低エストロゲン”だそうです。

「エストロゲンは女性ホルモンの1つですが、このホルモンの分泌が減ることによって膣が萎縮するほか、膣粘膜が薄くなる菲薄化(ひはくか)を起こすため、性交時に痛みを感じやすくなります」(天神先生。以下「」内、同)

また、低エストロゲン状態になると膣分泌物も減少するため、膣内が乾燥して痛みが生じることもあるそうです。

「低エストロゲン状態は、加齢による更年期の前後や閉経後、ホルモンバランスが変化する産後の産褥期(さんじょくき)や授乳中のママなどに起こります。また、卵巣機能不全による無月経の人にも起こります」

この場合の対処法としては、性交時に専用の潤滑ゼリーなどを使うほか、女性ホルモン剤を医師に処方してもらって内服したり、膣内に膣錠を挿入する方法もあるそうです。

ただし、「産褥期や授乳中のママについては、ホルモン剤を使用することができません。潤滑ゼリーなどを使用する以外は、生理が再開するのを待つしかありません」

生理が始まれば、エストロゲンの状態も元に戻って性交時の痛みもなくなるそうなので、しばらく様子を見るのがいいかもしれません。

原因2:精神的な理由

いちばん難しい問題が、“精神的な理由”による痛みだそう。乗り気じゃなかったり、「したくない」と思っていると、膣分泌物がなかなか分泌されないため、膣内が乾燥して痛みを感じやすくなるそうです。

また、「一度性交時に痛みを感じてしまうと、それがトラウマとなり、その後も行為のときに緊張して筋肉がこわばったり、膣分泌物が減少してしまうこともあります」

このように、精神的な理由が原因の場合は、まずリラックスすることが大切とのこと。雰囲気作りをしたり、事前にお酒を少し飲むなど、心身のリラックスを心がけるといいようです。

また、この問題については夫の理解も必要になるので、思い切って自分の気持ちを正直に話してみるのも効果的とのこと。

「どうしても気持ち的にリラックスできない場合は、病院で安定剤を処方してもらうことも可能です。1人で悩まずに、産婦人科の医師に相談してみるといいでしょう」

原因3:子宮内膜症

「20~30代の女性に多い性交時の痛みの原因は、子宮内膜症のことが多いです」

ただし、子宮内膜症であるからといって、すべての人が性交時に痛みを感じるわけではないそう。

「子宮内膜症がある人の中でも、子宮のまわりに炎症や癒着が生じている場合に、性交時に痛みが発生します。これが痛みの原因であれば、ピルや黄体ホルモン剤の服用など、子宮内膜症の程度に応じた治療を行うことで、性交時の痛みが改善されます」

原因4:子宮筋腫・卵巣腫瘍

「子宮筋腫は30~40代の女性に多くみられますが、筋腫が大きかったり、発生する場所が悪かったりすると、性交時の刺激によって痛みが発生することがあります」

また、卵巣腫瘍の場合は刺激による痛みのほかに、腫瘍がねじれることによって痛みが出ることもあるそうです。

どちらも性交痛の原因としてはあまり多くはないとのことですが、「今までにはなかった痛みを感じるようになったのであれば、腫瘍が徐々に大きくなっている可能性もあります。念のために、一度病院で診てもらったほうがいいでしょう」とのこと。

心当たりのある人は、早めに受診してみてください。

原因5:膣炎

「細菌性膣炎、カンジダ膣炎、クラミジア頸管炎などの炎症がある場合も、性交時に痛みを感じることがあります」

これについては、それぞれ適切な処置や治療を行えば痛みはなくなるそうです。

なお、クラミジア頚管炎などは性交により夫にうつることもあるそうなので、妻が病院で“感染あり”と診断された場合は、夫も感染していないかどうか調べてもらったほうがいいでしょう。

いかがでしたか? 「痛いからしたくない!」とそのまま放っておくと、最終的にはセックスレスになってしまう危険性もあるそうです。痛みは薬などよって取り除くことが可能ということなので、ぜひ一度医師に相談するなどして、快適な夫婦生活を送れるようにしたいですね。

(ライター 土田奈々子)

【取材協力】

※ 天神尚子・・・三鷹レディースクリニック院長。産婦人科医、医学博士。日本医科大学産婦人科入局後、同大学産婦人科学講師、三楽病院産婦人科科長などを経て、2004年に同クリニックを開院。女性が健康ではつらつと生活を送れるように、ライフスタイルに応じた心身のトータルケアを行う。雑誌や書籍の記事執筆や監修など、各種メディアでも活躍中。

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