「育児の苦労はみな平等」という言葉はキレイごと。そんな風に感じることはありませんか? それぞれの家庭において、抱えている悩みや負担は異なるはず。

とくに子どもの健康問題は家庭で担う部分が大きく、誰かと負担を分けあったり、身近な人とさえわかりあうことが難しいのではないでしょうか。一番辛いのは子ども本人ですが、子に寄り添う親も心を砕き、泣きたくなったり、仕事をセーブしたり、病院の時間に縛られたりすることがあるもの。

厚生労働省は、「21世紀出生児縦断調査」で平成13年の出生児の状況を13年間にわたり調査。今回は、同調査が継続的に調べている、“子どもの健康状態による親の負担感”についてお伝えします。

 

子どもの症状によって“負担に感じること”が違う

調査によれば、アトピー性皮膚炎や、食品アレルギー、ぜんそく、発達と行動面の相談、先天性の疾患など、“一部の子どもが罹患し、通院頻度が高い傾向の病気”において、親の育児負担感が高い傾向が見られるそう。

子どもの健康不安がある場合、家族は通院や食事のケア、学校・園との密接な連絡、家庭での処置、場合によってはカウンセリング受診など、多方面に気を配る必要が出てきます。

子どもの状態によって、負担に感じるポイントも異なるよう。今回は、調査対象の子どもが小学生になった第7回調査の結果をもとに、症状別に負担に感じる割合が高かった項目をご紹介していきます。

【食物アレルギーの場合】

3位・・・子ども過ごす時間が十分につくれない26.2%)

2位・・・自分の自由な時間が持てない33.3%)

1位・・・子育ての出費がかさむ45.6%)

普段から、加工品や菓子の原材料のチェックが欠かせず、外食時にも細心のケアが必要に。給食が始まると、アレルギー対象の食品が出る日には代替食を持参するなどの対応策を求められます。よって、時間やお金、そして疲れを負担に感じる家庭が多く見られました。

【アトピー性皮膚炎の場合】

3位・・・気持ちに余裕をもって子どもに接することができない(27.2%)

2位・・・自分の自由な時間が持てない(29.2%)

1位・・・子育ての出費がかさむ(42.3%)

アトピー性皮膚炎は、肌の状態が季節や体調によって変化するため、常に注視する必要があります。「この薬を続けていいのだろうか?」といった葛藤を抱くこともあり、“気持ちの余裕”にも影響が出ると推測できます。

【ぜんそくの場合】

3位・・・自分の自由な時間が持てない(27.0%)

2位・・・気持ちに余裕をもって子どもに接することができない(27.9%)

1位・・・子育ての出費がかさむ(42.5%)

「いつぜんそくの発作が起きるか」「常備薬を忘れていないか」など、いつも気が抜けない状態にあるため、気持ちの余裕を持てないと感じる保護者が多いようです。

【発達と行動面の場合】

3位・・・子どもについてまわりの目や評価が気になる(37.6%)

同率1位・・・気持ちに余裕をもって子どもと接することができない(38.1%)

同率1位・・・子育ての出費がかさむ(38.1%)

子どもの行動に注がれる周囲の視線を気にする保護者が多いようです。この5年後、子どもが小学校6年生になった時点での調査結果でも、“まわりの目が気になる”の項目が他に比べて減っていないことも特筆すべき点です。

出費がかさむのに思うように仕事ができない……

どの症状でも「子育ての出費がかさむ」という悩みが1位になっていましたが、“出費がかさむのに、思うように働けない”ケースも見受けられ、子どもの体調によっては「人に預けられない」という悩みを抱えている家庭もあります。

子どもが小学生にあがったことでパートから正社員になることを希望した筆者の知人は、子どもの食物アレルギーが急激に悪化したことで通院頻度や家事が増えて、仕事との両立が難しくなり、離職に至りました。

仕事を持つ母親にとって、子どもの健康状態によって、働くことをあきらめざるをえない場合もあるのです。

以上、子どもの健康状態と育児の負担感についてでしたが、いかがでしょうか?

通院するだけでも長時間を要する上、遠方の病院に行かなければならないことも。「定期的に通院しなければならない」という心理的負担も少なくありません。子どもの体調管理の負担は家庭に、とくに母親に集約されることが多いもの。金銭面以外に、心理的な負担の分散も必要と言えるかもしれません。

【参考】

21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)特別報告の概況 – 厚生労働省