妊娠したら、皆さん安産を願うと思います。では、安産のためにはどんなことを心がければいいのでしょうか。
今回は、開業以来5,000人以上のお産の介助をされている、東京都国分寺市にある矢島助産院の助産師さんからうかがった話をもとに、安産のための“妊婦さんの日常生活の心がけや注意点”についてお伝えします。

お産に向けた体づくりが大事

お産は決して楽なことではありません。出産日にがんばって産むためには、妊娠中に健康に留意して体調を整え、体力や筋力もつけておくに越したことはないですよね。

今回お話をうかがった矢島助産院のような“助産院”でのお産は、正常な経過のお産の介助はできますが、医療行為を行うことができません。お産のとき、もし、医療介入が必要であると判断された場合には、母子の安全を最優先に考えて、すぐに嘱託医の産婦人科へ搬送してもらうことになります。

でも、せっかく助産院で産みたいと希望している妊婦さんには、できるだけこうした事態にはならないでほしいもの。そのため矢島助産院では、安全に、そしてできるだけスムーズにお産ができるよう、妊婦さんにお産に向けた体づくりについての提案やアドバイスをされています。

そんな矢島助産院の助産師さんが、妊婦さんたちにおすすめしている、妊娠中の“体づくり”を順にご紹介していきましょう。

身体を冷やさない

妊娠している・いないに関わらず、体を冷やしたことから体調を崩す場合がありますよね。

特に妊娠中は、冷えが腰痛、逆子などのトラブルにつながるケースも考えられるので、できるだけ体を温めるように心がけたほうがよいそうです。特に、下半身を冷やさないようにするため、長パンツやカイロなどを上手に利用しましょう。

また夏は、冷房や冷たい飲み物で冷えてしまうことも。洋服で厚着するのは難しいかもしれませんが、靴下やレッグウォーマー、腹巻、さらし(腹帯)などを上手に使うのがおすすめだそうです。

食べ物や飲み物もなるべく温かいものがおすすめ。冷えた果物や生野菜などを食べるときは、一緒に温かい飲み物をとるのがよいそうですよ。

動作や動きで体をつくる

普段の姿勢や行動、体の使い方でも、お産に向けた体づくりをすることができます。経過がよい妊婦さんであれば難しいことではなく、日常生活や家事の中で気軽にできることばかりですから、取り入れてみてはいかがでしょう。

(1)スクワットの姿勢をとる

スクワットといっても、立ったり座ったりして脚を曲げ伸ばしするスクワット運動をするのではありません。ここでいうスクワットは、あくまで“スクワットの姿勢をとる”ということ。

日ごろから、しゃがんで用を足す“和式トイレ”のスタイルをするのがおすすめだそうです。この姿勢をとることで、赤ちゃんがよい位置に下がってくるそうですよ。疲れたら、お尻の下に座布団やクッションを挟んでみてもいいそうです。

洗濯物をたたむときや歯みがきのときなど、気軽にやってみるのがよいとのこと。ただし、逆子の場合はおすすめできないそうなので、逆子と診断されたり逆子の兆候のあるときは、医師や助産師さんに相談して治してからやってくださいね。

(2)あぐらをかく

あぐらをかく姿勢は、骨盤がお産に適した状況になりやすいとのこと。座るときは、背筋を伸ばして呼吸を楽にしてあぐらをかくのがよいそうです。

(3)床を雑巾がけするときの四つん這いポーズ

“トイレ掃除をするときれいな子が産まれる”という昔からの言い伝えを聞いたことがある方も多いのでは。

トイレに限らず、床掃除などで雑巾がけするときの“四つん這い”のポーズがよいとのこと。腰痛予防や、お産のときの回旋異常の予防にもつながると言われているそうです。これなら家事をしながら、気軽にできますね。

(4)よく歩く

経過がよい妊婦さんであれば、よく歩くことを心がけたほうがいいそうです。歩幅は広めで、腕をしっかり振って、姿勢よく歩きましょう。

少し歩いて疲れてしまう方もいれば、何時間でも歩ける方もいると思いますが、目安としては、自分が心地よい状態になるくらい歩くこと。お産の後、毎日の育児でも体力が必要ですから、歩いて体力をつけておくことは大事だそうですよ。

貧血にならないように注意

妊娠期は貧血に注意が必要、ということをご存じの方も多いでしょう。鉄分を多く含んだ食事、たとえばレバーや赤身の魚、ひじき、高野豆腐、緑黄色野菜などを摂るのは妊婦さんの基本ですよね。吸収を良くするために、鉄分を意識しつつも、バランスよく食べるように心がけましょう。

こうして食事に注意していても、妊娠中は、血液検査で貧血を指摘されてしまうことも。心配な場合は、妊婦健診でお医者さんに相談しながら、サプリメントなどを利用するのもよいそうです。

妊婦健診で貧血を指摘されてしまったら、お医者さんの指示に従うことが大事。貧血がひどく、薬を処方された場合は、安全なお産のためにもきちんと飲んでしっかりと貧血を改善させることが大事だそうです。

いかがでしたか? お産は体の負担も大きく、最近増えている高齢初産ではとくに体力面の不安があるかもしれませんよね。

これをやれば絶対にお産が楽になるという特別な方法があるわけではありませんが、少しでも体づくりをしておけば、お産の時間を短くしたり、トラブルの予防につながるものです。出産を控えている方は、出産前から毎日少しずつがんばってみてくださいね。

(ライター 川口沙織)

【取材協力】

※ 母と子のサロン矢島助産院・・・平成2年、矢島床子院長が東京・国分寺に開業。これまでの分娩数は5,000件以上。現在、年間分娩数は約160件、助産師数10人。「Feeling Birth 産むことを感じる」を理念とし、分娩介助だけでなく、母乳外来やマタニティ、産後のクラス等も開催。産んだ後の体と心のケア、授乳・子育てのアドバイスなども行い、女性が孤立しないよう幅広くサポート活動を続ける。メディアでの紹介も多数。

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