となりで即寝する夫を見て、「なんですぐに眠れるの」とうらやましく思ったことはありませんか? 「寝つきが悪いからしょうがない」とあきらめている人。もしかしたら、ある方法で寝つきがよくなるかもしれません。そこで今回は、株式会社ねむログ社長で睡眠改善インストラクターの濱崎洋一郎さんに、寝つきがよくなる方法を教えていただきました。

“寝つきがいい・悪い”の判定基準は?

皆さんは、自分が「寝つきがいい」「寝つきが悪い」のどちらのタイプだと思いますか? 濱崎さんによると、National Sleep Foundation(米国立睡眠財団)が発表した眠りの質についての論文では、寝つきに問題があるのは、寝付くまでの時間が次のような場合だと言われているそうです。

成人・・・45分以上

高齢者・・・60分以上

成人、高齢者ともに寝つくまでの時間が30分以下であれば、それは自然な寝つきであって、なにも問題はありません。成人で30~45分、高齢者で30~60分かかる場合はグレーゾン。問題がある場合とそうでない場合があるそうです。

寝つくまでにかかる時間は、布団に入ってから30分以内。これを基準に「寝つきがいい・悪い」を判定してみましょう。「寝つきが悪い」に該当してしまった人は、これから紹介する“寝つきがよくなるための方法”を試してみてください。

リラックス法を見つける

自然な寝つきに必要なのは、心と体を“リラックス”させること。ただ、人によっては、性格的、体質的に、リラックスさせることがなかなか難しいという人もいます。そんな人は、まず以下の方法にトライしてみましょう。

(1)心をリラックスさせる方法

・寝る前に悩みごとを書き出す

・睡眠儀式を決めて習慣として毎日実行する

(2)体をリラックスさせる方法

・入眠に効果のある呼吸法を試す

・筋弛緩法で体の緊張と脱力を繰り返す

・ぬるめのお風呂にゆっくり入る

寝る前は深呼吸でリラックス

寝る前の心と体のリラックスには、“深呼吸”が効果的です。深呼吸を続けることによって副交感神経が優位になるため、心身ともにリラックスすることができ、自然と心地よい眠りにつくことができます。

ただ、実際に眠るときに深呼吸を続けるのは意外と難しいもの。試しに、目を閉じて「スー、ハー」と深呼吸を続けてみてください。なんだかいろいろなことが頭に浮かんできませんか?

こうなると深呼吸からどんどん意識が離れてしまって、結局いつもどおりの浅い呼吸に戻るため、なかなかリラックスできず寝つけなくなってしまいます。

呼吸を整える「調息」とは

そこでオススメしたいのが、ヨガのトレーニングの一つ、呼吸を整える「調息」。どんな場面でも息を整えて、深くリラックスできるようになるため、これをマスターすると寝つきがグンとよくなります。

またほかには、深呼吸をサポートしてくれるウェアラブルデバイスやアプリもあったりしますので、その活用もおすすめです。グッズの助けをかりることで、入眠時の深呼吸が意識しなくても自然とできるようになり、寝つきやすくなります。

眠れないときは一度布団から出る

布団の中にいる時間のうち、実際に眠っている時間の割合のことを“睡眠効率”といいます。この割合が高いほど、質の高い眠りが得られていることになるのです。

前述した論文によると、“質の高い眠り”と言えるのは睡眠効率85%以上の場合。74%以下の場合は“問題あり”で、75~84%の場合はグレーゾーンとされています。

つまり、8時間布団の中にいる場合、実際に眠っている時間が6時間48分以上であれば質の高い眠りが得られていて、6時間未満の場合は良質な睡眠とは言えないようです。

「布団に入ったものの、なかなか眠れない」という状況は、けっこうつらいものがありますよね。そんなときは思い切って一度布団から出て、また眠くなったら戻るようにするのが、良質な眠りを得るためにもおすすめです。

睡眠リズムの乱れも原因に

皆さんが見落としがちな寝つきが悪くなる原因に、“リズムの乱れ”もあります。「休日はついつい朝遅くまで寝てしまう」という人も多いと思いますが、平日と休日の睡眠リズムが極端に違うのはNG。

平日と休日の睡眠時間が大幅に異なると、体内リズムと睡眠リズムにズレが生じるため、寝つきが悪くなってしまいます。これは一種の時差ボケのようなもので、“ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差)”と呼ばれています。

「休日はいつもより遅くまで寝ている」という人。ぜひ、次の休日はいつもどおりの時間に起きて、体内リズムと睡眠リズムを整えてみてください。それだけで寝つきがよくなって、気持ちよく眠れるかもしれませんよ。

いかがでしたか? 毎晩となりで早々に寝てしまった夫や妻を眺めている皆さん。「今日も眠れない……」とあきらめずに、ぜひ今回ご紹介した寝つきのよくなる方法を試してみてください。

なお、“寝つきの悪さ”は不眠症状の一つでもあります。「毎日寝つくまでに1時間以上かかる」など、あまりに寝つきが悪い場合は、念のために専門の医師に診てもらったほうがいいでしょう。

(ライター 土田奈々子)

【取材協力】

※ 濱崎洋一郎・・・睡眠専門マーケティング会社である株式会社ねむログ代表取締役。睡眠改善インストラクターとして、自ら学会で睡眠に関する研究発表も行う。入眠支援ウェアラブルデバイス『ツーブリーズ』の日本先行販売や睡眠情報メディア『フミナーズ』の運営など、生活に楽しく取り入れられる快眠レシピを提供

【参考】

Maurice Ohayon et. al. National Sleep Foundation’s sleep quality recommendations:first report, Sleep Health. February 2017 Volume 3, Issue1,Pages 6–19

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