【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が最新映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、レビューをします。

今回ピックアップするのは『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』(2018年4月13日公開)です。

『映画 クレヨンしんちゃん』は、1993年『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』から始まり、本作で26作目となる超大人気シリーズ。実は子供だけでなく大人にも人気があり、映画業界でもファンはめっちゃ多いんですよ。

それなのに、今まで1作も見ていなかった私……。そこで今回の最新作で、クレヨンしんちゃんを初体験することにしました。これがとっても楽しかったのです!

【物語】

しんのすけ(矢島晶子)と仲間たちは、カスカベ防衛隊として、伝説のカンフー “ぷにぷに拳” の修行に励んでいました。師匠(関根勤)とラン(潘めぐみ)の丁寧な教えにより、修行は順調。しんのすけは、たぐいまれな才能を“ぷにぷに拳”で発揮していました。

そんなとき、春日部にある中華街「アイヤータウン」では、”ブラックパンダラーメン“ が大流行。しかし、そのラーメンは中毒性があり、食べた人はみな凶暴化し「アイヤータウン」で大暴れするように。

そこで、カスカベ防衛隊は ”ぷにぷに拳“ で応戦するのですが……。

【平和の使者・しんちゃん】

『クレヨンしんちゃん』の映画のことを、私はずっと「子供向けでしょ」と思っていたのですが、この映画は子供のためだけに作られたアニメではありませんでした。しんちゃんの映画から繰り出されるギャグは、大人も大いに楽しめるザッツ・エンタテインメントなのです。

また、この作品は、大人と子供を超えた全人類に向けられたアニメでもあります。なぜならしんちゃんは、平和の使者だからです。

カスカベ防衛隊のみんなが修行する“ぷにぷに拳”は、相手から闘う気力を奪ってしまう拳法。相手がどんなにカッカしていても、フニャ~と戦闘能力ゼロにさせてしまいます。

そしてしんちゃんは、この拳法の修得が早いんです。それは、しんちゃんの脳内が “ぷにぷに” で柔軟性に長けているから。どんな状況でも楽しめるし、チャレンジ精神があるし、スポンジのような吸収力もあるし、何より人を憎んだりしない男の子だからです。

飛びかかってくる相手に対して暴力で打ちのめすのではなく、「ぷにぷに~っ」と叫び、戦闘能力をなくしてしまう、しんちゃん。この平和的な闘い方すごいわ~。世界中で “ぷにぷに拳”を流行らせてほしいと思いましたよ。そうすれば争いごともなくなるのに。

【キャラクターの個性と二転三転する展開の素晴らしさ!】

映画に登場する、しんちゃん以外のキャラクターもいいですね。両親のみさえとひろし、友達の風間くん、ネネちゃん、ボーちゃん、マサオくん。

特に、マサオくんがいちばん最初に “ぷにぷに拳” の修行を始めたのになかなか修得できず、しんちゃんたちに先を越され激しく凹むシーンなど、「マサオ~! 頑張れ~」とポンポンと肩を叩きたくなりましたよ。

加えて、拳法を教える師匠ランちゃんのキャラも良いのです。師匠は、敵のボスにツボを攻撃されて、口を開けば「パンツ~丸見え」しか言えなくなってしまうんです。

この師匠の声を担当したのは関根勤さんで、超ハマリ役! 大いに爆笑させてもらいました。

また、ランちゃんの後半の変貌ぶりも驚きでした。本人にとっては正義なのですが、正義を貫くためなら何をしてもいいのか、暴力でもいいのかという展開になっていき、けっこうハラハラしました。この映画、何気ない裏メッセージが意外と深いんですよ。

もしも『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』を、甥っ子、姪っ子、自分の子に「連れてって」とねだられたら、ぜひ連れて行って一緒に見てください。「まわりに子供がいない」という人は、彼氏とデートで見てもOK。気持ちが凹んでいるときに、ひとりで見るのもOKですよ。きっと元気でますから!

執筆=斎藤 香 (c) Pouch

『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』
(2018年4月13日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督:高橋渉
原作:臼井儀人
声の出演:矢島晶子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ、真柴摩利、林玉緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、潘めぐみ、みやぞん、あらぽん、関根勤、水島裕、置鮎龍太郎、真殿光昭、勝杏里、廣田行生
(c) 臼井儀人 / 双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2018