「そこ、気にするところ?」「いや、ここはこうでしょ」 そんな小さなモヤモヤが積み重なって彼とケンカになってしまった経験のある方も多いのでは?

決定的な別れにつながるほどのことでもないし、みんな価値観が違うのはわかっている。この問題に、なんとか折り合いをつけることは可能なのでしょうか。

桃山商事の清田隆之さんに、ウートピ読者が抱えがちな恋愛の悩みに全3回で分析してもらう今回の企画もこれで最終回。16年間で1000人以上の女性の恋の悩みを聞いてきた「恋愛相談のプロ」は、最後の悩みをどう締めくくる?

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【第1回】恋愛における「決断力」の身につけ方
【第2回】「話がつまらないオトコ」が多いのは気のせい?

「こだわり」はグラデーション状になっている

——価値観の違いにイラッとしてしまう原因は何なのでしょうか。

清田隆之さん(以下、清田):価値観ってよく考えると漠然とした言葉ですよね。ひと口に「価値観が違う」と言っても、具体的に何がどう違っているのか、よくわかっていない場合が多い。そこにあるのは、「何か合わないし、すり合わせるのも難しそう」という感覚ではないでしょうか。

価値観というのは「何にどれだけ価値を置いているか」のことであり、一人の人間の中でも無数の項目があります。家族観やジェンダー観、仕事に対するスタンス、お金に関する考え方、好きな小説や映画、ファッションのセンス、どの政党を応援しているか、好きなコンビニはどこか、唐揚げにレモンをかけるのはアリかナシか……などなど、とにかくさまざまな項目に好みや考え方が反映されています。

相手との違いを把握するというのは、こういった無数の項目についてズレや重なりを一つひとつ検証していくということです。……とはいえ、そうやって考えていくと際限がなく、もはや把握するのは不可能のような気がしてきますよね。「価値観が違う」というひと言で片づけたくなるのも致し方ないところかもしれません。

——では、どうすればよいのでしょうか?

すべてを検証することは不可能なので、まずは自分の価値観における“濃淡”を把握することが大事だと思います。たとえば僕で言えば、本や映画の趣味、政治的なスタンス、家族観やジェンダー観などにはハッキリした考えがありますが、食や旅行、お金やインテリアなどにはさほどこだわりはありません。

自分の価値観の濃淡を把握できれば、「ここは合ってないと厳しい」「ここは合ってなくても気にならない」という部分がクリアに見えてきます。つまり、ズレや違いが問題になるのは、自分が重視している項目だけというわけです。そうじゃない分野に関しては、ズレや違いはむしろ楽しむことだってできると思います。

相性とは「チューニングの際に要する労力」

——なるほど。でも、そもそも自分の価値観を把握していない人もいそうです。

清田:そういう時は、いろんな項目をいったん「保守」と「リベラル」の二元論で考えてみるとわかりやすいかもしれません。保守とは、王道や伝統、世間的な常識といったものに則るというスタンスで、一方のリベラルは、自由を重んじ、王道や伝統とは異なる方法を採用するスタンスです。

ファッションはイメージしやすいですよね。いわゆる「コンサバ」と「個性派」の違いというか。そういうものがいろんな項目にもあって、家族観で言えば、保守的な人は「結婚して、夫が働き、妻が家を守り、子どもを作って、持ち家に住んで……」という形を志向するのに対し、共働きや事実婚なども含め当人たちにフィットするパートナーシップの形を追求するのがリベラル派と言えるかもしれません。食はどっちか、お金の考え方はどっちか、政治はどっちか、セックス観はどっちか……と、まずは二元論で振り分けてみるといろいろ見えてくるような気がします。

——自分の価値観を把握できたとして、どう彼の価値観と折り合いをつければいいですか?

清田:相手と完全に一致することなんてまずあり得ないので、誰であってもズレや違いは生じます。繰り返しになりますが、それが譲れない項目のズレだったらかなり厳しいと思います。一緒にいる時間が長くなればなるほどストレスは増していく可能性があるわけで、その場合は別れを選択するのもひとつの手です。

ただ、価値観のすり合わせは「チューニング」のようなものなので、基本的には話し合いをして互いに歩み寄るのがいいと思います。自分だけが合わせる一方では絶対に無理が生じるので、そこは双方の歩み寄りが必須です。

つまるところ“相性”というのは、このチューニングに要する労力のことだと思われます。一緒にいて楽な人って、要するにチューニングの幅が小さくて済む人なんだと思います。とにかく、価値観の相違に関しては「譲れない部分に関しては歩み寄る、こだわりの小さい部分に関しては相手に乗っかってみる」というスタンスをオススメします。

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(取材・文:姫野ケイ、写真:青木勇太)

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