お子さんの乳歯のケア、大丈夫ですか? 子どもが嫌がったり、時間がなかったりで、意外とおろそかになっているかもしれませんね。

さらには、「永久歯に生え替わるから大丈夫」と油断している人も、一部にいるかもしれません。しかし、実はまれに“永久歯の生えてこない乳歯もある”ことをご存じでしょうか?

その場合、子どもは乳歯を自分の永久歯として、大事にしながら生きていかなければなりません。そうなると、乳歯のケアは、子どもの将来のためにとても重要なことですよね?

そこで今回は、富山県の小矢部市で渡辺歯科医院の院長を務める渡辺智良先生に、“永久歯の生えてこない乳歯の話”について教えてもらいました。

 

■いつまでも生え替わらない歯は永久歯がない場合も

そもそも永久歯とは、どうやって生えてくるのでしょうか? 渡辺先生に聞いたところ、

「歯は歯胚といって、顎骨の中で歯の卵のようなものが形成されて誕生します。その歯胚がカルシウムやリンなどのミネラルを吸収しながら成長し、最終的には大人の歯になります」

とのこと。その新しい大人の歯が、下から乳歯を押し上げていくのですね。しかし、

「永久歯の元となる歯胚が何らかの原因で形成されないことがあり、永久歯が生えてこない場合があります。その状態を“先天性欠如”と言います」

つまり、子どもの歯に大きな虫歯ができて、「どうせ生えてくるんだから、抜いてしまってください」と、レントゲンも撮らずに歯医者さんに抜いてもらった場合、万が一“先天性欠如”だったら大問題。もう二度と歯が生えてこない、ということですね。

先天性欠如のために歯の並びにすき間ができた場合は、

(1)矯正治療(で隙間を埋める)

(2)ブリッジ

(3)入れ歯

(4)インプラント

(5)親知らずの移植

など、大掛かりな対策が必要になるそう……。金銭的にも大きな負担ですし、子どもの心身にも負担です。

渡辺先生いわく、

「日本小児歯科学会学術委員会がまとめた2010年の論文では、上顎に先天性欠如がある頻度は4.37%,下顎に先天性欠如がある頻度は7.58%」

と分かっているとか。それほど高い確率ではないですが、完全に無視していいほど低い割合でもないですよね。

 

■乳歯のケアは永久歯も守る

また、乳歯の徹底ケアは、万が一永久歯が生えてこなかった場合に備えて行うだけではありません。

『WooRis』の過去記事「どうせ生え変わるから…はNG!“乳歯の虫歯を放置”しちゃダメな理由とは」の内容の通り、乳歯の虫歯を放置すると、その下に生えてくる永久歯の成長が邪魔されたり、永久歯が変形したり、もろくなってしまったりするのです。

乳歯の虫歯による悪影響で変質してしまった永久歯を、“ターナーの歯”ともいいます。 

「どうせ生え替わるから」と軽く考えるのではなく、

(1)歯科検診を定期的に行う

(2)正しいオーラルケアを欠かさない(歯間ブラシは必須)

(3)虫歯があれば早目に治療する

を心掛けて、乳歯を守ってあげたいですね。特に乳歯は永久歯と違って弱いので、大人のサポートが不可欠です。

 

以上、“永久歯の生えてこない乳歯の話”を紹介しましたが、いかがでしたか? 

忙しくて子どもの歯までケアができない日もあるかもしれませんが、今の乳歯が生え替わらない可能性がほんの少しでもあると思うと、ちょっと気持ちも変わりますよね。

今一度、お子さんのデンタルケアを見直してみてはいかがでしょうか。

 

【取材協力】

※ 渡辺智良・・・歯科医。歯学博士。日本歯周病学会歯周病専門医、日本補綴歯科学会専門医。現在は富山県小矢部市にある渡辺歯科医院で一般歯科、歯周病専門治療、インプラント、予防歯科、小児歯科、義歯(入れ歯)を担当。

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