生ビールは何が「生」なのか知っていますか?

当たり前のように「生ひとつ!」とお店で注文していますが、考えてみると、ビールについて知らないことは多いですよね。

そこで今回は、キリンビールセミナー講師を務める中水和弘さんに、ビールについていろいろなお話を伺いました。なんと、グラスを温めて飲むビールもあるそうです……!

缶でも瓶でも「生」ビールなんです

——生ビールの「生」って、何が生なのでしょう? 

中水和弘さん(以下、中水):お店で出てくるビールが「生」だと思っている方が多いかもしれませんね。国によって例は異なりますが、例えばドイツなど海外の場合は、樽から出すのが生で、それ以外の瓶ビールなどは生ではない……という括りがあるので正解なのですが、日本においては缶も瓶も生ビールなんです。作る過程で熱を加えているかどうか、という基準で決まります。

ビールを作る際は、麦汁に酵母を加え、炭酸ガスとアルコールに分解させます。酵母は微生物、つまり生き物なので、昔は「これで発酵は終わり」とコントールすることができませんでした。味が変わらないように熱を加えて酵母の動きを止めて出荷していました。しかし現在は、酵母を100%取り除くフィルターができたので、缶も瓶も「生」になったのです。このフィルターは、日本で発達した技術なんですよ。

——酵母のない「生ビール」のほうがおいしいのでしょうか?

中水:そういうわけではありませんよ!   特徴的な味わいを楽しむために、熱処理をした後に酵母をそのままにした「無濾過ビール」などもあります。それぞれの個性を楽しめます。

現在108種! ビールの種類

——ビールは、「エール」や「ラガー」など、いろんな種類があるようですが……どう違うのでしょうか?

中水:ビールの分類(ビアスタイル)は、使う酵母によって「エール」「ラガー」「自然酵母」の3つに分けられます。その中で、さらに細かく分類されていき、今は108種類のビアスタイルがあります(2017年現在)。

発酵が進むにつれて、浮いていく酵母を使ったビールがエール、沈んでいく酵母がラガーです。作りたいビールによって酵母を選ぶところから、ビールづくりは始まるんですよ。ちなみに空気中に浮いている微生物の働きによって作られるのが「自然発酵」で、代表的なのがベルギービールですね。

——そんなに種類があるんですね。ちょっと難しくなってきました。日本で普段よく飲まれるビールは、何という名前なんですか?

中水:日本でお馴染みの、白い泡が立つ薄い黄色のビールは、ラガーの一種で「ピルスナー」といいます。1842年、チェコのピルゼンという地方で誕生したビールです。ピルスナーが誕生したあとに日本にビールが伝わったので、日本の主流はピルスナーと言われています。

 ——なるほど、それで日本では冷やして飲むピルスナービールが主流なんですね。

中水:ドイツやイギリスは、ピルスナーが誕生する前からビールを飲んでいるので、ピルスナー以外の特徴あるビールが飲まれています。ドイツは都市ごとにその特徴が様々なので、いろいろな都市を巡りながら飲み歩く楽しさがあります。ドイツではそれを「ビアライゼ」と言います。

<おすすめのおいしい飲み方>

——歴史を知った上で飲むと、より楽しめそうですね。

中水:そうですね。例えば、なぜフランスはワインが有名で、ドイツやベルギーはビールが有名なのかって、意外と知らないですよね。フランスでは葡萄がとれましたが、ドイツではとれず、ワインを作りたくても作れなかった。だからかわりにビールを作ったんです。ベルギーではレッドビールと言って、ワインづくりで使われる「オーク樽」に詰めて作るビールもありますよ。

フランスでも、モン・サン・ミッシェルなどがあるノルマンディ地方では葡萄がとれないため、リンゴから作られる「シードル」が飲まれています。旅行をするにあたって、こうしたお酒の歴史を知っていると、レストランで食事をするときにもっと楽しめると思いますよ。

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