ヘルシーで価格も手ごろな“鶏肉”は、毎日の食卓に欠かせない食材。ただ驚くことに、市販の鶏肉の約40%(「厚生労働科学研究食品安全確保研究事業」調べ)が、既に“カンピロバクター”という食中毒の原因となる菌を保菌しているのをご存知ですか? 今回は、料理研究家で栄養士の中村友香さんのお話と『厚生労働省』のサイトを参考に、食中毒を防ぐための“鶏肉の正しい扱い方”をご紹介します。

市販鶏肉の多くが保菌

厚生労働省のHPによると、今の食鳥処理の技術では、食中毒菌を完全に取り除くことができないそうです。“新鮮かどうか”に関係なく、市販の鶏肉の約40%(「厚生労働科学研究食品安全確保研究事業」調べ)がすでにカンピロバクターに汚染されています。

つまり、“鶏肉の正しい扱い方”を知らなければ、思いもよらず菌に感染して、食中毒を起こす危険性があるのです!

カンピロバクター食中毒は、細菌性食中毒の中でも最も発生件数の多い食中毒。鶏肉が主な感染源で、感染すると下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの一般的な食中毒症状のほか、数週間後には手足や顔面神経の麻痺、呼吸困難を起こす“ギラン・バレー症候群”を発症することもあるそうです。

この恐ろしい食中毒から、家族や自分を守るための鶏肉の正しい扱い方を4つご紹介します。

1:調理前に洗うのは絶対にダメ!

「鶏肉のヌメリを取る」「洗うと料理がジューシーに仕上がる」といった理由で、調理前に鶏肉を洗う人がいますが、これは絶対にやめてください。

蛇口の水で鶏肉を洗った場合、その水が広範囲にわたって飛び散ります。菌を含んだその飛沫が近くに置いてある調理器具や他の食品などについてしまうことによって、二次感染が発生する危険があります。

2:必ず冷蔵庫の一番下の棚で保存

菌は温度が10℃になると活性化し、35℃で最も増殖するので、買った鶏肉はすぐに冷蔵庫に入れて5℃以下で保存するようにしましょう。

なお、冷蔵庫に入れるときは、必ず一番下の棚やチルドルームに入れるようにします。こうすれば、パックについた肉汁が他の食品に流れ落ちて付着することがなく、二次感染を防ぐことができます。

また、鶏肉のパックの上やとなりに、野菜やくだものなど、生で食べる食材を置くのも絶対にやめましょう。

3:ゆっくりと中までしっかり火を通す

厚生労働省のサイトによると、カンピロバクターは熱に弱い性質があるため、調理の際はしっかり火を通すことが大切です。菌を死滅させるためには、中心部を75℃以上で1分間加熱する必要があるので、ゆっくりと中まで火を通しましょう。

肉がピンク色だったり、肉汁が透明でない場合は、加熱がまだ十分ではありません。

4:使った調理器具や手はきれいに洗う

厚生労働省のサイトによると、鶏肉を切ったあとのまな板や包丁は、すみずみまでしっかり洗い、殺菌・消毒します。熱湯消毒のほか、漂白剤に浸けて殺菌するのもいいでしょう。可能であれば、まな板は“鶏肉などの肉用”と“他の食品用”とに使い分けると、二次感染の危険が減るので安心です。

また、当たり前ではありますが、鶏肉をさわったあとは手に菌が付着しています。せっけんと温水でしっかり手洗いをして、次にさわる他の食品に菌を付着させないよう気をつけましょう。菌が気になる場合はアルコール消毒をするとより安全です。

いかがでしたか? カンピロバクターは比較的少ない菌量でも食中毒を引き起こします。死亡例はめったにないものの、乳幼児や高齢者、体が弱っている人などの場合は重症化することもあるので十分な注意が必要です。

調理の際は鶏肉にしっかり火を通すとともに、取り扱いに十分注意して、他の食品への二次感染も防ぎましょう。

(ライター 土田奈々子)

【取材協力】

※ 中村友香・・・料理研究家、栄養士。目で楽しみ、味わえる、おしゃれな家庭料理を軸に、料理教室やテレビ出演、レシピ開発や電子マガジンの執筆など幅広く活躍。体によい食事はもちろんのこと、食べる人に喜んでもらえるテーブルコーディネートや盛りつけのコツも伝授する。自分と周りの大切な人を幸せにする料理“おしゃれしぴ”をブログで発信中

【参考】

カンピロバクター食中毒予防について(Q&A) – 厚生労働省

カンピロバクターリーフレット – 厚生労働省

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