子どもの頃はお世話になっていた文房具。大人になるにつれて遠ざかり「メモや予定はデータ管理が中心」という人も多いのでは? しかし、文房具も日々進化を遂げていて、使い方一つで毎日の仕事の強い味方になってくれます。

文具プランナーでウェブマガジン「毎日、文房具。」副編集長の福島槙子(ふくしま・まきこ)さんに「気分も上がって仕事もはかどる」文房具を紹介していただきます。第19回目のテーマは「万年筆」です。

今回は、「そろそろ万年筆に手を出したいけれど、何から使えばよいのかわからない」というウートピ編集部が福島さんに万年筆について教えてもらいました。

300円で買える万年筆

——「30歳も超えたし人前でペンを使う機会も多いしそろそろ万年筆というものが欲しいなあ」と思っていたんです。そしたら、ある日学生時代の友人がスケルトンの万年筆をSNSにアップしていて……。最初はボールペンだと思ったので「今はこんなにカジュアルな万年筆があるんだ!」って驚いたんです。価格も3000円くらいと聞いて驚きました。

福島槙子さん(以下、福島):そうなんですよ。最近は各メーカーが万年筆になじんでもらおうと安価で気軽に買える製品を出しているんです。中には数百円で買えるものもあるんですよ!

——数百円! 大人の階段を一段でも登りたいので、この機会に万年筆について教えてください。

福島:わかりました。今回はビギナーの方にオススメの万年筆を紹介しますね。「大人の階段」ってことなので、手頃な値段の万年筆から順に紹介していきましょうか。

——よろしくお願いします!

福島:まず「万年筆は高い!」と思っている人にぜひ手に取ってほしいのが「プラチナ万年筆」の「preppy(プレピー)」です。なんとコレ1本300円なんです。

sプレピー

sプレピー2

——300円! 300円で万年筆が買えるんですね。

福島:そうなんです。しかも、万年筆はしばらく(3〜6ヶ月)使用しないとインクが乾いてしまうんですが、プレピーは約1年間使わなくても乾燥しない構造になっているんです。

——万年筆って使わないと乾いてしまうんですか? それさえも知らなかったです。だからみんな「お手入れが難しい」って言うんですね。

福島:そうなんです。プレピーの場合は、プラチナ万年筆が特許を取得した「スリップシール機構」という完全機密キャップのおかげでインクの乾きを防ぐ画期的な構造
になっているんです。

——メーカーさんの努力ってすごいんですねえ。

福島:プラチナ万年筆は「パイロット」「セーラー万年筆」と並ぶ万年筆の3大メーカーなので、書きやすさはお墨付きです。プレピーはシリーズ累計販売1000万本を突破した世界一売れている万年筆なんです。

——確かに書きやすいです。

福島:あ、万年筆はサンカクの丸の部分が上になるようにしてちょっと寝かせて書くんですよ。

——あっ、そうなんですね。それも知らないで書いてました。どうりでインクが出づらいなーって思ってたんです。

福島:……。

ペン先にキュートな顔が!

福島:もう一本、ビギナーの方向けに紹介したい万年筆があるんです。「kakuno(カクノ)」(パイロット)です。

カクノ2

——かわいいー!!

福島:もともと子ども向けに「万年筆とのはじめての出会いが、大切なものとなるように」という願いを込めて作られた万年筆で、万年筆ブームの火付け役にもなった商品です。

——ペン先が顔になっている! 軸も六角形で小学校のときに使ってた「もちかたえんぴつ」を思い出します。

kakuno

福島:かわいいですよね。1本1000円と手ごろな値段なのもいいですよね。透明ボディも登場したのでぜひチェックしてみてください!

——これはぜひ普段使いに欲しいですね。

大人っぽい万年筆なら…

福島:ここまではカジュアルな万年筆を紹介してきましたが、「大人っぽいデザインの万年筆が欲しい」という人には「Cocoon(コクーン)」(パイロット)がオススメです。

コクーン3

コクーン4

——わあ! 大人っぽい!

福島:その名の通り、繭(まゆ)のようななめらかな曲線のフォルムが特徴で、上品なデザインですよね。持った感じはちょっとずっしりするのですが、そのほうが文字を書きやすいんです。

——あ、ほんとだ!

福島:価格は3000円なので、プレゼントにもオススメです。

——色も大人っぽいシックな色が揃ってますね。

限定カラーも素敵なドイツ発の万年筆

福島:と、ここまでは国産の万年筆をご紹介しましたが次にご紹介するのは外国製の万年筆です。

——お、外国製がいよいよ登場ですね!

福島:今回持ってきたのは、ドイツ生まれの万年筆「ラミー サファリ」です。

rami-1

——うわー、色がキレイですね。

福島:そうなんです。カジュアルなデザインとなんとも言えないカラーが絶妙で、「さすがヨーロッパ」という感じですよね。

——はい。

福島:実は、毎年限定カラーが発売されていてコレクターの間でも有名なんです。ちなみに今年のカラーは、ブルーとグリーンにグレーを絶妙に混色した「ペトロール」です。

2017年限定の「ペトロール」

2017年限定の「ペトロール」

——すっごく素敵! この打ち合わせが終わったら買いに走っちゃいそうです。

「金ペン」で断然オススメなのは…

福島:ところで、「金ペン」って知っていますか?

——金ペン? って何ですか?

福島:実はこれまで紹介してきた万年筆のペン先は金ではなくてステンレス製や特殊合金だったので比較的安価だったんです。でも、ペン先が金のほうがインクで腐食しにくく書き味も柔らかいんです。

——へえー、なるほど。

福島:というわけで、金のペン先でぜひご紹介したいのが「#3776 センチュリー」(プラチナ万年筆)です。製品の名前にもなっている「3776」というのは富士山の標高にちなんだ数字で「日本を代表する美しい日本文字のための万年筆」という願いが込められています。

「#3776 センチュリー」のブルゴーニュ

「#3776 センチュリー」のブルゴーニュ

——富士山!

福島:金ペンでこの品質で1万円で買えるというのは信じられないです。そのくらいの珠玉の一本だと思います。こちらのペン先も「プレピー」のときにご紹介した「スリップシール機構」なので、初めての方も安心して使えますよ。

——1万円で金ペンの万年筆が買えるんですね。

ノック式の万年筆も

福島:「もう少し出してもいいよ」という方には「キャップレス」(パイロット)もオススメです。その名の通り、ノック式の万年筆です。

キャップレス

——わっ、本当だ! ボールペンみたい。

福島:そうなんです。ボールペン感覚で使いたい方や仕事で使いたい方にはピッタリだと思います。いかがでしたか?

——ありがとうございました!

日本語を書くのであれば国産がオススメ

——国産でこんなに手頃な万年筆があるなんて驚きでした。「万年筆」といえば、「モンブラン」とか「ペリカン」の数万円するやつがデフォルトだと思ったので。

福島:そうそう、万年筆といえば、外国製を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、日本語を書くのであれば国産の細字タイプがオススメなんです。アルファベットを書く機会が多ければ、太くてインクもたくさん出る外国製が適しています。自分がどんな場面でどんな文字を書くかを想像して選ぶといいと思います。

——私は断然日本語を書くことが多いので、国産で探してみるといいってことですね。

福島:そうですね。万年筆は書き手とともに成長していく文房具と言われていて、最初は書きにくいなと思っても、毎日使っているうちに手に馴染んできます。特に金ペンは最初より1ヶ月後のほうが書きやすくなってきます。

——なるほど。最初に「大人の階段」って言っていましたけれど、万年筆も使う人と一緒に階段を登っていくっていうことなんですね。

■今回紹介した商品

商品名:「preppy(プレピー)」(プラチナ万年筆)
価格:300円〜

商品名:「kakuno(カクノ)」(パイロット)
価格:1000円

商品名:「Cocoonコクーン」(パイロット)
価格:3000円

商品名:「ラミー サファリ」(ラミー)
価格:4000円

商品名:「#3776 センチュリー」(プラチナ万年筆)
価格:10000円

商品名:「キャップレス」(パイロット)
価格:15000円

※価格は税抜き表示です。

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)